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雲南市吉田村の「菅谷たたら」は、映画「もののけ姫」に登場する「たたら場」のモデルとなりました。

ここには、たたらの製鉄炉と建物(高殿)が日本で唯一保存されており、たたら師たちの生活を今に伝えています。

菅谷高殿(すがやたかどの)とたたら製鉄

吉田町でたたら製鉄が始まったのは鎌倉時代であるといわれていますが、この時代から中世までは「野だたら」といわれる移動式の製鉄法が行われていました。

近世に入り吉田町でも高殿を構えて操業が行われるようになると、村内のあちこちで盛んにたたら製鉄が行われ、企業だたらとして隆盛を極めるようになりました。全国で唯一、今に残る「菅谷高殿」は1751年から170年間の長きにわたって操業が続けられ、大正10年にその火が消えました。このことは、この地がたたら製鉄を行うのに最適であったことを意味しています。

高殿式の製鉄が始まってから約300年、豊富な森林資源と、原料である砂鉄に恵まれた吉田町での製鉄の歴史の長さを思い高殿の中に足を踏み入れると、先人達が私達に遺してくれた歴史的、文化的遺産の偉大さを体感することができます。

山内(さんない)

たたら製鉄に従事していた人達の職場や、住んでいた地区を総称して「山内」と言います。

たたら製鉄の技術者達の日常生活がここで営まれました。当時のたたら製鉄の技術者達はもう一人もいません。しかし製鉄で山内が盛えた頃を偲ぶことのできる町並みがここには残っています。家屋は改築を繰り返していますが、ここに住む人達の内側には昔からの伝統が受け継がれています。

それと同時に吉田町はたたら製鉄を伝える建物を保存し、復元してきました。静かな山内の中をゆっくり歩いてみて下さい。いろいろなことが発見できるでしょう。

元小屋(もとごや)

山内地区の仕事から生活習慣を含めて、事務所的役割をしていたのが元小屋です。天保末期の頃の建物ですが、改造、補修を繰り返して現代に残しました。

名前には小屋という文字が付いていますが、造り、間取りは昔の農家と同じです。二階建て柿葺き(こけらぶき)木造のこの建物には四畳半から十畳の部屋がいくつかあり、風呂場、台所など当時の生活の現場が残っています。天保4年(1833)に焼けた記録がありますから、その直後に建てられたものと思われます。

元小屋の中をそっと覗いてみて下さい。当時の生活の匂いが感じられます。